◯鍼灸師にとって重要なもの

鍼灸師が治療を行う上で重要なのは手の指です。

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治療に必要なツボ取りをするにも、鍼を刺すにも指の扱い方と指先の感覚はとても重要です。

指は患者の体の状態を読み取るセンサーであり、ツボ取りの探知機であり、患者に施術者の情報を伝える発信器でもあります。
そのため鍼灸師はそのケアにも気を遣います。日々爪の長さに気を配り、切る道具にこだわりを持つ人もいます。

人によってはボールを直接手で扱う球技は一切やらないとか、指を守るために家事は家族に任せて一切せず、指を大切に扱っているなどという話も聞くことがあります。


大事だという割に指や手の使い方、患者さんへの触れ方などを教わる機会というのはそれほど多くありません。

この辺りのスキルはセミナー的に「体の使い方」というカテゴリーに入るのですが、巷に溢れる治療家のためのセミナーのDMなどを見ると「一瞬で○○の症状が治る奇跡の治療法!」というような理論や技術に関わるものばかりです。





◯「鍼治療以前」を学ぶセミナー

今回はそんな体の使い方を学ぶセミナーに参加してきました。
そのセミナーは6/4に開催された「整動鍼セミナー触診刺鍼実践編」

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整動鍼セミナーは開催当初から体の使い方を重要視していて2日日程の1日目のセミナー後に「触診塾」と題して体の使い方を学ぶ任意参加のセミナーの時間を設けていました。

しかし帰宅しなければならず参加できない人、もっとしっかり時間をとって教わりたい人達の要望を受け、今年から1つのセミナーとして設置されました。


内容としては触診塾でやっていた体の使い方に加え、それを実践する題材として体験会の内容のツボ取り、刺鍼をすることになっています。

体験会の内容は、使用頻度が高いにも関わらず時間の都合上デモのみとなっているため、ツボ取りの練習をする機会がありませんでした。

体験会の内容を深く学べるというだけでもかなりオイシイセミナーです。




◯手の使い方は◯◯が重要

セミナーでは自分では中々気づくことのできない内容が惜しげもなく説明され、指導されます。

患者さんへの声のかけ方、近づき方、触れ方など、1つとして疎かにしていいものではありません。

患者さんへの触れ方では距離感、指の使い方、患者さんの状態の捉え方、評価の仕方などが説明されます。

患者さんに手で触れるので皆手や指の使い方ばかりを気にしてしまうのですが、手の使い方をよくするには、姿勢や目線、距離感など、手以外の体の使い方が重要です。


姿勢が悪いと触り方が雑になります。


目線や距離感が不適切だと患者さんに不快感や圧迫感を与えます。



誰もが聞けば「そうそう!」と納得するものの、いざ実践となると知らないうちに悪い例をやってしまうもの。

体の使い方の訓練は、自身の無意識の動きの訓練でもあります。




◯鍼のための訓練は鍼の実践でのみ学ぶものか?

整動鍼のセミナーで体の使い方の話を聞いていると活法を思い出します。

注意するべきポイントが全く同じだからです。

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画像は活法研究会のHPより



整動鍼は活法から生まれたと言っても過言ではない技術なので当然といえば当然のことなのですが、最近は整動鍼のみを学ぶ人も増えてきたので知らない人もいるかもしれません。


整動鍼は鍼という道具を介して治療をしています。

またツボの定義がシンプルで鍼をしての効果がハッキリしていて、再現性が高いのも特徴です。


しかし、ここに1つの問題があります。









鍼という道具、整動鍼の理論が優秀すぎるが故に、体の使い方がまずくてもそこそこの成果が出せてしまうのです。



もちろん体の使い方が加わればよりツボ取りの精度が上がるため治療効果もより高まります。


一方、活法はというと体の使い方が技の成否を決定します。形だけを真似しても体の使い方という中身が伴わないと治療になりません。

いやでも体の使い方は上手くなっていきます。

活法は間違いなく整動鍼を扱う能力を底上げしてくれます。

「整動鍼を学ぶ者は活法もまた学ぶべし」と強く思います。



今回のセミナーは整動鍼を扱う上での活法の重要性を再認識することになりました。

整動鍼と活法の両方を学ばなければ見えない世界があります。
その可能性は未だに広がり続けています。

鍼灸界の革新はまだ始まったばかりです。