技術を考える

漫画でも映画でも昔からのちょっとかっこいい言い回しとして「急所は外しておいた」なんてものがあります。

こんなセリフが登場する漫画は最近少ないですが・・・



急所は辞書的な意味としては「体の中で生命にかかわる大事な所」(デジタル大辞林)とありますが、由来が武術の殺法であることは明白です。

治療の場合にも「急所」という言葉を使う人がいます。殺法の急所はうまく使うと治療点にもなるのでそれを使っているということだと思いますが、使い方を誤るとかえって体を壊すことになります。治療技術に体の使い方が求められるのはこのためです。


◯技術の難易度

今、目の前に1匹の蝿がいるとします。

五月蝿く飛び回るハエがいると、多くの人はハエたたきで仕留めようとするかもしれません。

こっちじゃないですよ。



ハエたたきを使えば確かに簡単ですが、命を奪うことになりますので、生け捕りにすることを考えましょう。

・・・ここでいきなり難易度が上がります。     

虫取り網などの道具を使えばまだいくらか楽かもしれませんが、素手ならどうでしょうか?
さらに箸で生かしたまま捕まえるとなったら達人でもないと不可能です。


ラルフ・マッチオ
2004-06-23



技術というものは殺法的なものよりも活法的なものの方が難しいのです。


◯難しさの正体

ではなぜ殺法より活法の方が難しいのか?要因はこの辺りだと思います。

・刺激の強さ
・相手との関係性 

①刺激の強さをコントロールする
分かりやすい動きとして「叩く」を考えます。
一口に叩くと言っても使用する場面によって必要な刺激量は違います。
「手で肩を叩く」と「ハンマーで地面を叩く」が同じだったら色々事件になりそうですし、同じ「肩を叩く」でも、施術とリストラ勧告では相手に与える影響も違います。

殺法として考えれば基本的に刺激量は多ければ多いほど有効です。
活法だと強すぎても弱すぎてもダメで、相手に治療上必要な強さで叩く必要があり、その強さの範囲も個人差があります。
細かく刺激をコントロールすることが施術としての効果につながってきます。


②相手との関係性は複雑すぎる
殺法を使う場面では基本的に相手の意識はこちらに向いています。意識が向かってきているのでその力を利用することも可能になります。
が、相手も急所を攻撃されたくはないので防御も怠りありません。急所を狙うのは難しいですが、狙った急所に的確に効かせるのはもっと難しいです。





治療の場合は相手が防御するケースは少ないので活法の方が急所を狙いやすいという面はあるかもしれません。(力の使い方によっては防御されますが)
ですが相手の意識がこちらに向いていないことも多いので、そもそもの関係づくりが重要になります。

関係づくりには会話、位置関係や動きの間などに始まり環境(色、温度、湿度、匂いなどを含みます)も関わるので全部を考慮し出すとキリがありません。


昔の武術流派にあっては殺法の修行を極めた者には活法の型を示せばすぐ再現できたとか。殺法と活法の体の使い方は同じであるということだと思います。殺法にも段階があり、倒すだけの段階から相手の生死を技術によってコントロールできるのが真骨頂であると思います。

現代にあっては殺法と活法を同時に学んでいる人間は少ないと思いますが、技法の一つの面だけでなく、違う面から学ぶことで深く理解できると思います。

活法研究会の技術に関して言えば殺法とは違いますが、活法と整動鍼を同時に学ぶことには大きな意味があると思います。活法の体の使い方は整動鍼に役立ちますし、整動鍼の触診や理論の細かさは活法での見切りや触れ方の助けになります。
人体を2つの技術を通して見ていくことで自身の治療技術に与える効果は計り知れません。


10月16日(日)、17日(月)は活法整体入門セミナー肩こり編が開催されます。
活法に興味を持った方だけでなく整動鍼に興味を持った方にもオススメのセミナーです。

セミナーに興味を持った方はこちら


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◯平城鍼灸整骨院
秋田県横手市平城町6-25
TEL 0182-36-6036
完全予約制
年中無休(不定休あり)
診療時間
9:00〜12:00
14:00〜18:00

いつもの場所。いつもじゃない出来事。

20時。東京駅。

いつもの時間の新幹線。
東京出張の帰りはいつも20時16分発のこの便を使う。

今日はどうしたことだ?
お土産は行列。待合室も人がぎっしり。
新幹線に並ぶ人もいつもの倍だ。

いつもなら座席には余裕もあり、隣に荷物を置いても誰にも何の迷惑もかからない。
なのに今日は隣に20才くらいの可愛い女の子がディズニー帰りと思しき荷物を抱えて座り、休むことなくスマホで何かを打ち込んでいる。
よりにもよってこんなオッサンの隣の席になって可哀想に。

他の席もほとんど誰かが座っている。

一体今日は何があったんだ?



・・・あ、今日は祝日か!



◯臨床実践編

10月9日、10日は整動鍼セミナー臨床実践編に参加しました。


今回のセミナーは脊柱編、四肢編、腹背編の3つの受講が参加資格。3つのセミナーの内容を元に、受講者の質問に答えたり、臨床上重要な補足が成されるセミナーです。

よくもまあこれだけ貴重な情報を惜しげも無く、というのが率直な感想です。

膝痛、股関節痛、坐骨神経痛、五十肩などよくある症状に関しての追加情報はもちろんのこと、劇的な効果を持つ新発見のツボの公開、そしてスポーツ治療業界に革命を起こす「シンスプリントX(エックス)」。整動鍼の真骨頂、ここにありといった感じです。

今回1番の収穫は整動鍼理論の実像が見えてきたことです。
具体的な話はセミナー情報の漏洩になるため書けませんが、今まで三角形に配されていた3つのセミナーの内容が円となり回転しているようです。
3つのセミナーが徐々に整動鍼という名の大きな渦の中で一つに溶け込んでいく、そんなイメージです。

何だか今までとは違うものを見ているようです。
今まで経絡によってのみ表現されていた骨格筋と内臓の関わり。
体は変化したがすぐ元に戻る理由と対処法。
そうしたことが「連動」という言葉によって大きな1つの流れを作っている、その一端が確かに見えてきました。

整動鍼によってここまでできるのなら西洋医学や東洋医学に偏る必要はありません。どちらにも関わりを持ちながら鍼灸という技術を追求していけます。


◯整動鍼は今

何かを一つの理論として定着させるには、何か大きなもので束ねる必要があります。そうでないと膨大な情報がバラバラに存在し、理解も整理もできなくなるからです。
西洋医学は科学で人体を縛り、東洋医学は陰陽論や五行論、経絡によって人体を縛っています。
整動鍼は1度科学や陰陽論、五行論、経絡によって縛られた人体を解き放ち、連動によって再度人体を束ねている真っ最中。
膨大な探索と検証によって見出された体の関係性の一部がセミナーによって明らかにされ、全国から集まって熱き思いの鍼灸師の手に渡りました。
多くの鍼灸師によって効果の検証がなされ、整動鍼が治療業界をひっくり返すのもそう遠い話ではないかもしれません。



動鍼を学び始めてから自分の治療が変わりました。明らかに鍼を使う機会が増えています。
整動鍼の持つ即効性が再現性が何よりその効果の高さが鍼灸師としての自分を目覚めさせてくれました。

人体はまだまだ未開の地。整動鍼による開拓は続きます。


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流行の波

世の中には流行りというものがあります。

前回コーヒーの話題を取り上げましたが、例えばコーヒーは現在サードウェーブという流れの真っ最中です。
私も詳しくはないのですが、ネットの情報を総合すると概ね以下のような感じのようです。

戦後の大量生産・大量消費のコーヒー文化が第1の波(ファーストウェーブ)。
その後の高品質なコーヒーを提供しようとする流れが第2の波(セカンドウェーブ)。エスプレッソやカフェが広まったのがこの頃のようです。
そして現在の第3の波(サードウェーブ)がさらに高品質なスペシャリティコーヒーの文化。ブレンドせず単一の品種を農園ごとの味に注目して楽しんだり、これまでのような深煎りでなく、浅煎りで豆の個性を楽しむのが特徴のようです。

ちなみに私は地元のcaffe gitaでサードウェーブからコーヒーに興味を持ったにわかコーヒー好きです。

豆販売とテイクアウトのみ。
コーヒー豆の地方発送もしています。

私の行きつけの横手店。
私のコーヒー写真のほとんどはここ発。




◯鍼灸の第1の波(ファーストウェーブ)

東洋医学である鍼灸にも同じような流れがあるような気がします。(あくまでも私個人の見解です)

鍼灸は2000年以上前の中国が発祥です。日本に入ってきたのは6世紀頃と言われていますが、独自の発展を遂げて現在に至ります。例えば現在日本で使われている鍼菅(しんかん)は日本の発明です。


この菅の中に鍼を入れて叩いて刺すことで刺すときの痛みが減ります。



痛みに弱い日本人にはありがたい発明です。


現代にあっても前漢の時代に編纂されたとされる「素問」や「霊枢」が鍼灸のバイブルとして継がれています。その特徴は経絡と う概念があること。気の通り道である経絡は内臓や人体内外のエネルギーとの関わりを持ち、それらの流れをよどみなく調整することが治療の目的です。ツボに対して鍼や灸をし、経絡を調整することで体の症状を治療します。
治療効果に限りない可能性と壮大なロマンをはらむ一方、目に見えないものを対象にするため理論が理解しづらく、習得に時間がかかるため個人の技量によって治療効果の差が大きいのが難点でもあります。

「古典・経絡」が第1の波のキーワードです。
(あくまでも私個人の見解です)



◯第2の波(セカンドウェーブ)は西洋的

江戸時代までは東洋医学も社会的に一定の地位を持っていたようですが、ある歴史的出来事により大きな転換期を迎えます。
その出来事とは明治維新。
明治維新によって国内の様々なものが西洋化し、医学も西洋医学が正統とされ、東洋医学は隅っこに追いやられていったのです。
その後時を経て徐々に鍼灸も復権していきますが、それまでの古典と経絡に基づく手法だけでなく、西洋医学的な手法の鍼灸も現れます。それが現代鍼灸と呼ばれるものです。
問題のある場所に直接鍼をし、電気を流すなどして治療します。理論も誰にでも分かりやすく、習得もしやすいのですが第1の波と比べると治療の幅が狭い印象があります。またスポーツの現場にあっては問題のある筋肉を直接ゆるめるためにパワーが出なくなり「試合前に鍼をするとパフォーマンスが落ちる」というのが定説になっていたりします。

第2の波のキーワードは「患部に直接・西洋医学的」というあたりでしょうか。
(あくまでも私個人の見解です)


この2つの波が現代における鍼灸治療の主流であるといえます。(あくまでも私個人の見解です)



◯そして登場する第3の波

今、新たな波が起こり始めています。その名は整動鍼。(あくまでも私個人の見解です)

整動鍼はこれまで鍼灸の大きな流れであった経絡から一旦離れ、「ツボに鍼をしたら体はどう変化するか?」という原始的な部分に目を向け、ツボによる体の変化を観察・分析することで理論を組み立てており、再現性が高いのが特徴です。
また体の動きの連動に注目し、患部ではなく症状を出す原因となる場所に鍼をするのも大きな特徴で、この考え方は以前話題にした活法に発想のヒントを得ています。患部に鍼をすることが無いため、運動前に施術することでパフォーマンスを向上させることが可能です。

第3の波、整動鍼のキーワードは「動き、再現性」あたりです。
(あくまでも私個人の見解です)


2000年以上も続いてきた経絡の主体とする考えから離れることは鍼灸師としてはかなり勇気がいります。しかしこれは体を別な視点から見つめ直そうということであって経絡を否定するものではありません。
一歩を踏み出す勇気が自分の世界を広げてくれます。




コーヒーにしろ鍼灸にしろ、時代とともに押し寄せる流行の波はより良いものを求めようとする故に起こったものであり、時代の要請であるとも言えます。
中国の古典という波と西洋医学の発想の波の後に起こった波である整動鍼。その波は日本の歴史の中に埋もれそうになっていた活法から生まれました。

何度も書いていますがここに書いたことはあくまでも私個人の見解であり、批判も多いかと思います。
整動鍼が業界をひっくり返すような真の第3の波となり得るかは今後の我々次第です。
明日から東京で整動鍼セミナー臨床実践編が開催されます。脊柱編、四肢編、腹背編と3つのセミナーの修了者が受けられる応用セミナーです。
日本各地から整動鍼を学びに行く人が徐々に増え各セミナーは常に満席状態です。

真の第3の波になるべく私も明日、東京に向かいます。


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◯平城鍼灸整骨院
秋田県横手市平城町6-25
TEL 0182-36-6036
完全予約制
年中無休(不定休あり)
診療時間
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